

「藍 2021」の格に
ふさわしい食の体験。
ミシュランシェフ宮石が追求する、
ペアリングを吟味する悦び
8年連続ミシュラン一つ星を獲得するKenzo Napaを指揮し、国内5店舗を展開するケンゾー エステイト直営店の総料理長を務める宮石 謙氏。重厚な品格を備えた「藍 2021」のリリースに合わせ、ケンゾー エステイトのトップ・キュベというワインの格にふさわしいペアリングの極意を尋ねました。
世界中の食・ワイン通をも唸らす、「藍」の重厚で深遠な味わい

初めて「藍」をテイスティングした際の感想を教えてください。
ナパ・ヴァレーのワインならではの力強さだけでなく、バランスの良さもあり、クオリティの高さに驚かされました。私自身、カベルネ・ソーヴィニヨンが好きなので、「藍」の味わいの深さに没入しながら、その美味しさを堪能した記憶が今でも残っています。
ケンゾー エステイトのお客様には、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の非凡なワインを普段から召し上がられているお客様が多くいらっしゃいます。そういった方々からも「藍」は、「香りや味わい、全体のバランスのクオリティがずば抜けていて、カルトワインと比べても遜色無い」と仰っていただきます。
料理人の私が言うのも少し変な話ではありますが、「藍」はペアリングせずとも、ワイン単体だけで成立するパワフルさやストイックさがあります。それだけの格があるワインだけに、ペアリングさせる料理にも「藍」に匹敵するグレードが求められるのです。料理人として襟を正して対峙しなければならないワインとも言えます。
「藍 2021」の印象はいかがでしたか?
例年と変わらず骨格がしっかりとあり、高いクオリティを保っています。ブラックベリーやカシスなどの黒系果実に、グリーンノートのアロマが奥行きを与える複層的な香りを持ち合わせています。タンニンはとてもしなやかで、飲み口はなめらかです。どんな料理をペアリングとして皆様にご提供できるか、考えを膨らませるだけで心が躍りました。
トップ・キュベ「藍」と渡り合う、珠玉の逸品とのペアリング
「藍 2021」とのペアリングにおすすめの食材は何ですか?
やはりお肉ではないでしょうか。牛肉はもちろん、ジビエのような癖のあるお肉でも「藍 2021」はしっかり受け止めることができます。食材の質の良さで勝負するメニューのほうが合いますので、シンプルに焼いたお肉料理などは抜群のペアリングを見せるでしょう。
また、「藍 2021」には脂の乗った魚とのペアリングも可能です。ただし、脂っぽい魚をただ焼けばいいというわけではありません。下ごしらえをして、しっかり味付けないと「藍 2021」には渡り合えません。それだけ力強いワインです。

「燻製漬け鮪のカツ 豆鼓と舞茸の餡」
たとえば、「燻製漬け鮪のカツ 豆鼓と舞茸の餡」です。鮪を漬けにして生臭さを抑え、胡椒をしっかり振ってお肉の食感に近づけています。揚げることで脂の旨味が増幅され、「藍 2021」の香りや味わいにも負けません。厚くカットしているため、ちゃんと咀嚼する必要があり、食感に食べ応えが生まれます。食べ応えは、非常に長い余韻がある「藍 2021」とのペアリングの親和性を高めるポイントです。「藍」は味噌など熟成させた調味料とも相性が良いですので、豆鼓を加えて熟成感を出したソースを添えてお出しします。
直営店で「藍 2021」とのペアリングにおすすめの料理を教えてください。

「能登牛ランイチ肉のポワレ エシャロットと松の実のコンディマン」
銀座店のコースにある「能登牛ランイチ肉のポワレ エシャロットと松の実のコンディマン」*はいかがでしょう。シンプルにローストした料理ですが、ランプやイチボは食べ応えがある部位のため、しっかり咀嚼することで肉の旨味が溢れ、「藍 2021」とのペアリングをお愉しみいただけます。

「赤牛サーロイン鍬焼き 江戸前マイクロハーブ 落花生 南瓜とゴルゴンゾーラ」
広尾店のコースでお出ししている「赤牛サーロイン鍬焼き 江戸前マイクロハーブ 落花生 南瓜とゴルゴンゾーラ」*もおすすめです。噛み応えのある赤牛、中でもジューシーな部位であるサーロインを使用しており、「藍 2021」の余韻の長さに調和します。さらにゴルゴンゾーラの強い風味も、「藍 2021」ならしっかり受け止めることができ、より複層的な味わいをご堪能いただけるはずです。
*直営店の料理は提供期間が終了している場合がございます。
春夏秋冬、それぞれに「藍 2021」を合わせるなら、どんな料理がいいでしょうか?
季節を問わず、基本的にお肉料理なら失敗がありません。ご家庭などでは、様々なお肉料理とのペアリングを試していただきたいですね。
その中でも、冬は旬を迎えるジビエはいかがでしょう。脂が乗りジビエが最も美味しい季節です。鹿や鴨など、様々なジビエをステーキやシチューにして味わってみてください。春はラムの旬で、ラムの中で最も美味しいとされるスプリングラムが出回ります。甘辛いタレで味付ける「ジンギスカン」なら、「藍 2021」の味わいにも負けません。
夏でしたら、「BBQ」で豪快にペアリングはいかがですか。お肉の香ばしさが合うだけでなく、脂っぽさを「藍 2021」の厚みのあるタンニンがさらっと洗い流します。そして秋には、「茸の煮込みハンバーグ」などいかがでしょう。粗挽きにしたジューシーなハンバーグの肉汁が口中を潤し、デミグラスソースの複雑な旨味を「藍 2021」の果実味やタンニンが引き立てます。
季節ごとに様々なお肉料理とペアリングいただければ、いかに「藍 2021」がお肉と相性のいい赤ワインであるかがご実感いただけるはずです。

宮石 謙氏(KENJI MIYAISHI)
Kenzo Napa、ケンゾー エステイト ワイナリー 直営店の総料理長。Kenzo Napaでは8年連続でミシュラン一つ星を獲得。旬の食材と真摯に向き合い、ひと皿ひと皿に春夏秋冬の移ろいを描きながら、彩り豊かに仕上げた本格的な懐石料理の数々を提供している。
※2020年のミシュランガイドは、発売中止となりました。



