“一人でも多くの人に
最高のワインを”
オーナー夫妻の想いから誕生した
ハーフボトルの魅力を堀口CCOが解き明かす
ワインを少しだけ愉しみたい時、様々な銘柄を比較して味わいたい時などに便利なハーフボトル。「一人でも多くの人に最高のワインを届ける」という辻本 憲三・夏子オーナー夫妻の強い意志のもと、ケンゾー エステイトは2008年からハーフボトルをラインナップしています。
今回は、ケンゾー エステイトのファーストリリースから関わり続けている堀口 由紀子CCO(Chief Customer Officer)に、ハーフボトルの魅力や愉しみ方を尋ねました。
量が半分なら、価格もちょうど半分に。これがケンゾー エステイトのこだわり

ケンゾー エステイトでは、全銘柄でハーフボトルをご用意しています。その理由から教えてください。
辻本 憲三・夏子オーナー夫妻はワイナリー立ち上げ時から、すべての銘柄でハーフボトルを作ることを掲げていました。欧米人に比べ、フルボトルを1本飲める日本人は多くありません。飲み切りやすいハーフサイズなら日本人も手に取りやすく、また様々な銘柄を愉しんでほしい、というのがオーナー夫妻の想いです。
ケンゾー エステイトで初めてハーフボトルをリリースしたのは、2008年です。ハーフボトルは手間もコストもかかるため、フルボトルに対して割高になりがちですが、フルボトルのちょうど半分の価格に設定しています。割高だと結局フルボトルを選ぶ人が多くなって、本末転倒ですから。
コストや手間よりもフルボトルのきっちり半分の価格にすることを優先して、一人でも多くのお客様にワインをお届けする。これがケンゾー エステイトの大切にしている価値観です。
自宅やワイン会、ギフトなど、様々なシーンで活躍するハーフボトル

飲みきりやすいサイズのほか、ハーフボトルならではの良さを感じる部分はどこですか?
自宅でワインを飲みたい時、フルボトルだと飲み切れなかった後の管理が気になって、結局開けられなかったことはありませんか。その点、ハーフボトルは無理なく飲み切れるサイズで、そういう心配が少ないですよね。
また、ワインの熟成スピードを左右するのは容量。ワインの体積が小さいほど空気に触れる液体の比率が高いため、ハーフボトルの方が早く熟成が進みます。フルボトルよりも飲み頃が早く訪れるため、すぐに飲むならハーフボトル、熟成させるならフルボトルといった使い分けもできるでしょう。
いちワインラバーとして、堀口さんはハーフボトルをどのように利用されていますか?
個人的には、ワインを持ち寄る3~4名の集まりには、フルボトル1本とハーフボトル1本を持って行くことが多いです。フルボトル1本だと少し物足りない、でも2本だと飲みきれないかもしれない、そんな時にハーフボトルが活躍します。持ち運びもしやすいですし、飲みきれない心配も少ないですから。
さらにハーフボトルはギフトにも最適。フルボトルではバリエーションが限られるような場合、ハーフボトル2本で選ぶと、プレゼントするシーンや相手に合わせて、様々な組み合わせが可能です。例えば、赤ワインの「紫鈴 rindo」とスパークリングワインの「蓮 ren」や「清 sei」が一緒になった縁起の良い紅白セット、お祝いに相応しい名前の「結 yui」と「寿々 suzu」のロゼワインセットや、ワインがお好きな方には「紫 murasaki」と「藍 ai」のトップ・キュベセットなど。贈る相手を思い浮かべながら、組み合わせを選ぶ時間もまた、ギフトの楽しみのひとつです。
料理に合わせて飲み分けたい。ペアリング需要を支えるハーフボトル

堀口CCOは、日々ホテルや飲食店の方々へワインを紹介しています。ハーフボトルのニーズは高いのでしょうか?
私がケンゾー エステイトで働き始めた2008年頃は、ハレの日や接待に利用されることが多いホテルでは、ハーフボトルはカジュアルに見えると敬遠されることが多かったですね。しかし、ここ10年ほどハーフボトルの需要が高まっています。
その理由を教えてください。
2015年頃の日本では赤ワインの方が人気で、喉を潤すための白ワインはハーフボトルがちょうどいい、という雰囲気がありました。実際ケンゾー エステイトでも、ハーフボトル人気に火がついたのは赤ワインではなく、まずは白ワインの「あさつゆ asatsuyu」でした。飲み手からのニーズが高まり、今では数多くのホテルがハーフボトルを取り扱ってくださっています。
ハーフボトルだと、様々なペアリングもしやすいですよね。

今でこそお寿司とワインのペアリングは定着しましたが、昔は寿司店に紹介してもほとんど採用してもらえない時期がありました。ただ、店主がワインに造詣のあるお店では、まずはハーフボトルから置いてくださることが多かったです。日本酒や焼酎を飲まれるお客様が多いので、少しだけワインを飲みたい方に喜ばれたとのこと。
また、オーナー夫妻はお二人だけの食事の時も、4~5名の食事会の時も、ハーフボトルをよく利用されます。ハーフボトルならすぐに空くので料理とのペアリングを意識し、次は別の銘柄を注文されて、様々な味わいを愉しまれていますね。
ハーフボトルでのペアリングを愉しまれているオーナー夫妻は、ご自宅にあるセラーには常にハーフボトルをストックされています。
オーナー夫妻との食事で印象的なペアリングはありましたか?
オーナー夫妻とうなぎをいただいた時、白焼きには「結」、蒲焼きには「明日香 asuka」を合わせたことでしょうか。白焼きの脂を「結」がきれいに流し、白焼きの繊細さがより際立ちました。蒲焼きのたれの甘みと山椒をたくさんかけたスパイシーさは、「明日香」の繊細な甘やかさとわずかなグリーンのノートに、見事にマッチしていましたね。
夏子オーナー夫人に教えていただいたペアリングで印象深いのが、「紫鈴」と鉄板で焼いたさつまいも。さつまいものほくほくした甘みと香ばしさが、「紫鈴」の程よい果実味や香ばしい樽のニュアンスと、相性がよかったです。
柿がお好きな憲三オーナーとは、クリームチーズをのせた干し柿と「寿々」でご一緒させていただいた時ですね。干し柿の甘みとチーズの塩味のコントラストに「寿々」のドライな味わいが引き立つのです。さらにチーズのクリーミーさを「寿々」の泡のクリーミーさが包みこみ、大変記憶に残るペアリングでした。
全銘柄でハーフボトルがあることはケンゾー エステイトの強み

今後もハーフボトルの需要は伸びると思いますか?
アルコール消費量が減っていると言われる中で、ハーフボトルの人気は今後さらに上がっていくのではないかと感じています。
一方で、ケンゾー エステイトのように全銘柄でハーフボトルを揃えるワイナリーはなかなか現れないのではないでしょうか。製造にはコストも手間もかかるので、簡単に真似できることではないと思います。
「ハーフボトルの銘柄を選べるほど用意してあるワイナリーは少なく、ハーフボトルをオンリストしたくても、なかなか選択肢がない。その点、ケンゾー エステイトは全銘柄でハーフボトルがあるので助かる」。
これはケンゾー エステイトのハーフボトルを取り扱ってくださっている飲食店の方が、よくおっしゃることです。そういったお声をいただけるのは嬉しいですね。
「一人でも多くの人に最高のワインを届ける」という辻本憲三・夏子オーナー夫妻の想いからスタートしたハーフボトルのラインナップですが、いまではそれがケンゾー エステイトならではの大きな強みだな、と最近つくづく感じています。
これからも、一人ひとりのライフスタイルに寄り添うワインとして、ハーフボトルが果たす役割はますます大きくなるのではないでしょうか。

堀口 由紀子
(YUKIKO HORIGUCHI)
ケンゾー エステイト ワイナリー ジャパン 株式会社、CCO(Chief Customer Officer)。2008年に入社し、卸レストランや法人・個人への営業活動に従事。シニアワインエキスパート、チーズプロフェッショナル取得。豊富な経験と知識を有し、一流レストランやホテル・旅館からの信頼も厚い。プロ向けテイスティングセミナーも数多く開催。ケンゾー エステイトのワインの魅力を知り尽くすスペシャリスト。