INTERVIEW CCO堀口 由紀子がご案内 「紫 2021」に宿るナパの恵みとしなやかさINTERVIEW CCO堀口 由紀子がご案内 「紫 2021」に宿るナパの恵みとしなやかさ

果実味・タンニン・酸、
そのバランスが妙
歴代の「紫」を知る堀口CCOが語る、
「紫 2021」の魅力・愉しみ方

ケンゾー エステイトのデビュー時からラインナップされ、ワイナリーの歴史とともに歩んできたトップ・キュベの一つ「紫 murasaki」。ケンゾー エステイトで唯一メルロを主体とし、甘く華やかな香りが広がり、ブレンドの巧みさを感じられるしなやかな口当たりが心地よい、ボルドー右岸スタイルの赤ワインです。最新ヴィンテージ「紫 2021」のリリースを記念し、ファーストヴィンテージから「紫」を見続けてきた堀口 由紀子CCO(Chief Customer Officer)がその魅力や愉しみ方をご案内します。

「紫」が描く、果実味・酸・タンニンの均衡美

初めて「紫」をテイスティングした時の印象を教えてください。

一つの品種に頼らず、ブレンドの妙でバランスよく仕上がっていると感じました。「紫」と対をなす、もう一つのトップ・キュベ「藍 ai」はボルドー左岸スタイルで、カベルネ・ソーヴィニヨン主体で骨格が太く、力強くて重厚な印象。一方で「紫」はブレンドによる柔らかさ、しなやかさのある赤ワインと言えます。

「紫」もファーストヴィンテージからしばらくはカベルネ・ソーヴィニヨン主体でした。転機は2011年。この年はナパ・ヴァレーが天候不良で、メルロの収量が極端に減りました。辻本 憲三・夏子オーナー夫妻はメルロの重要性を強く実感し、2012年ヴィンテージよりメルロ主体になった経緯があります。

カベルネ・ソーヴィニヨンが主体だった時代も「紫」は嫋やかでしたが、メルロ主体になったことでしなやかさがより前面に出ましたね。もともとの絶妙なバランスがより研ぎ澄まされた印象です。

そんな「紫」は、2019年に全米ベストワインの1本に選ばれ、2021年には2018年ヴィンテージがアメリカのワイン格付メディアCWA(California Wine Advisors)で100点満点の最高評価を得るなど、メルロ主体の素晴らしいワインとして着実に地位を固めていると言えるでしょう。

「紫」が評価された理由は、どのような所にあると思いますか?

酸がしっかりしつつも、角の取れたウェットなタンニン感を持つ「紫」は、そのバランスの良さが特徴的なワインです。ワインの構成要素である果実味とタンニン、酸のバランスを三角形で表した際、「紫」はまさに正三角形を描いているように感じます。

また、正三角形をキープするには優れた熟成が不可欠であり、ポテンシャルのあるワインにしか叶いません。ケンゾー エステイトのワインは、どの銘柄も酸がしっかりしてバランスが良く、時を重ねても正三角形を保っていますが、そのなかでも「紫」は甘いアロマやスパイシーさ、丸みを帯びたタンニンが、時間が経っても失われることはありません。果実味・タンニン・酸の絶妙なバランスが、月日が経っても揺るがず、むしろ大きな正三角形を描き続けられるのは、「紫」ならではでしょう。

実際に、シェフやソムリエといったワインのプロフェッショナルからいただいた「紫」への感想において、印象深かったものはありますか?

2018年頃に「紫」の2007年ヴィンテージを召し上がったお客様が「ナパ・ヴァレーのワインがここまで熟成するなんて」と、驚かれていました。その「紫」にはしっかり熟成香が出ていて、香りの複雑性に感動してくださったとのこと。まさに、大きな正三角形を感じていただけたのではないでしょうか。

自然の恵みが導いた凝縮感。「紫 2021」が語るヴィンヤードの力

2021年のナパ・ヴァレーのワインはグレート・ヴィンテージとのことですが、2021年のケンゾー エステイトの葡萄やヴィンヤードはいかがだったのでしょうか?

2021年、ナパ・ヴァレーは乾燥した冬から春を迎え、平野部のワイナリーで広がっていたのは干ばつへの懸念です。しかし、標高の高いケンゾー エステイトでは、夜明け前に畑を包み込む朝靄が、毎朝、葡萄樹に水分をもたらし、自然の恵みを十分に蓄えることができました。この恵まれた環境により、干ばつの影響を受けることなく、健やかに葡萄が育っていったのです。

また、春から秋にかけての葡萄の生育期間は晴天が続き、気候は安定して穏やかでした。葡萄の成熟に理想的な条件が揃い、例年にも増して豊かな収穫を迎えることができたのです。

この素晴らしいナパ・ヴァレーのコンディションは、米国のワイン専門誌「Wine Spectator」のヴィンテージチャートにも反映されており、2021年は非常に高い評価を受けた年とされています。

素晴らしいコンディションの恩恵が、「紫 2021」のどのような所に生きていると思いますか?

「紫 2021」も果実味・タンニン・酸のバランスが絶妙であり、またナパ・ヴァレーのメルロとしての個性である「凝縮感、柔らかさ」も十二分に発揮できていると思います。核となる凝縮感ある果実の香り、タンニンの厚みときめ細やかさも秀逸です。恵まれた天候によって葡萄が順を追ってじっくりと成熟へと向かえたことは、大きな恩恵ではないでしょうか。

また、メルロは、カベルネ・ソーヴィニョンよりも早熟で、収穫期も早いです。そのため、収穫時期が一歩遅れるだけで、急激に酸が落ちてしまうリスクをはらんでいる品種でもあります。的確なタイミングで収穫ができたことも、見事なバランスの実現につながっているのではないでしょうか。

このような良年の恩恵を受けた「紫 2021」は、世界的なワイン評価メディアである「JamesSuckling.com」にて95点、そしてロバート・パーカーが創刊した米国の著名なワイン専門誌「Wine Advocate」にて94点を獲得するなど、卓越した品質に仕上がっています。

芳香が鼻をくすぐり、熟成の萌しがある「紫 2021」

「紫 2021」の香りや味わいはいかがでしたか?

リリース直後からエッジはオレンジがかり、熟成の兆候がありました。メルロらしいプラムやイチジク、チェリーといった果実のコンポートのような甘やかさ、樽由来のココアやカカオ、シナモンのような濃厚で芳醇なアロマが鼻をくすぐります。

味わいは、凝縮した果実味のなかに、ほのかに塩味を感じます。タンニンは角が取れ始め、ウェットなテクスチャーかつシルクのようなしなやかさです。優しい余韻も長く続きます。

「紫 2021」を愉しむ際のお勧めの飲み方はありますか?

メルロらしさをより感じたいようでしたら、抜栓から2~3日ほど置いて召し上がることをお勧めします。抜栓直後よりも、メルロの特徴がしっかりと表れ、果実味の豊かさや甘やかさが一層感じられることでしょう。

実際にテイスティングをしたのですが、特に香りは顕著でした。抜栓直後はココアやカカオ、土のような熟成香があり、第1アロマと呼ばれる果実の香りは控えめでした。しかし、数日を経るとメルロらしい赤いバラのような華やかさが表れ、新たな熟成香としてなめし革も加わり、奥行きのある複層的なアロマへと変化を遂げたのです。

味わいは、タンニンが非常にまろやかになったのが印象的。柔らかな飲み口ではありますが、芯がないわけではありませんので、しっかりとした飲み応えもご実感いただけるでしょう。

甘やかな味わいと個性的な肉料理。「紫 2021」が引き出すペアリングの妙

「紫 2021」とともに味わいたいスペアリブ

ペアリングでお勧めの料理を教えてください。

コンポートしたフルーツのような、甘くジャミーな香りを持つ「紫 2021」と相性がいいのは、甘めのソースがかかったお肉です。チキンのような淡白なお肉ではなく、少し個性のある鴨や鶉と味わいたいですね。カシスソースがかかった鴨肉やスペアリブなど、お肉だけでなく、ソースの味わいも愉しめる料理との相性の良さをご実感いただけます。

料理と合わせる際、「紫 2021」をより美味しく愉しむ方法を教えてください。

「紫鈴 rindo」や「藍 ai」にも共通することですが、召し上がる3~4時間ぐらい前に抜栓し、空気に触れさせてください。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べるとメルロは熟成が進みやすく、「紫 2021」も抜栓直後から香りや味わいが開いていますが、デキャンタージュしてよりまろやかにして愉しむのも良いでしょう。

冷たすぎると香りが感じられませんので、15度ぐらいから飲み始め、徐々に18度ぐらいまで温度が上昇するなかでの、香りや味わいの変化をお愉しみください。グラスはボルドーグラスがお勧めで、なかでもボウルの深めのタイプも良いかもしれません。香りの伝わり方がゆっくりとなり、アロマをじっくりご堪能いただけます。

最後に、「紫 2021」のどのような部分に注目して、皆さまにご堪能いただきたいですか?

ナパ・ヴァレーのワインらしい果実味豊かな味わい、フレンチオーク樽熟成による甘やかな香りをぜひ愉しんでいただきたいです。華やかな香りとまろやかな味わいに特徴を持つ、カベルネ・フラン主体の赤ワイン「明日香 asuka」がお好みの方は、親しみを覚えるのではないでしょうか。

抜栓直後から数日後まで、「紫 2021」は熟成による変化を愉しめるのも魅力です。何年かセラーで熟成させるのも一興でしょう。さまざまなシーン、飲み方で「紫」を愉しんでいただければ嬉しいです。

堀口 由紀子
(YUKIKO HORIGUCHI)

ケンゾー エステイト ワイナリー ジャパン 株式会社、CCO(Chief Customer Officer)。2008年に入社し、卸レストランや法人・個人への営業活動に従事。シニアワインエキスパート、チーズプロフェッショナル取得。豊富な経験と知識を有し、一流レストランやホテル・旅館からの信頼も厚い。プロ向けテイスティングセミナーも数多く開催。ケンゾー エステイトのワインの魅力を知り尽くすスペシャリスト。

商品ラインナップ

紫 murasaki 2021 (750ml)
¥35,000 (¥38,500税込)

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紫 murasaki 2021 (375ml)
¥17,500 (¥19,250税込)

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紫 murasaki 2021 (750ml) [木箱入り]
¥36,500 (¥40,150税込)

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