現在(2023年11月14日より)、「深穏」の最終販売を行っております。数量限定の特別セットとなりますので、この機会にぜひお愉しみください。

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「深穏2017」リリースにあたり

去る2020年7月1日、ナパ・ヴァレーにある私共のワイナリー、ケンゾー エステイトが、グランドオープンからちょうど10周年という節目を迎えました。本来なら皆様と盛大に祝杯を挙げたいところですが、世界中が未曽有の事態に陥り、それも叶わぬ夢となりました。しかし、そんな混沌とした今だからこそ、あえて、私共がこの10周年に向けて手掛けてきた特別なワインについて、ご紹介させていただきたいと思います。不安が独り歩きしてしまう昨今だからこそ、皆様に、深く…深く…穏やかな気持ちになっていただけることを願って……。

2017年は、日照量に恵まれながら、サンパブロ湾からの冷涼な風も流れ込み、日ごとに寒暖の差が激しく変動する年でした。起伏の豊かなケンゾー エステイトの畑では、複雑に移ろう微小気候の影響を受け、例年になく多彩な個性の葡萄が、様々な区画ごとに収穫されました。そして、自然界ゆえに生じる数々の偶然が重なって、例年よりも2週間ほど収穫を遅らせたことが、結果的には、熟成感のある良質な果実を収穫できた要因になったようです。その艶やかな果実が持つ、深く、穏やかな表情に、私共は魅了され、心からの感銘を覚えました。様々な状況を介して、偶然にも寄り添ってくれたその果実は、青や紫に輝く多色性の宝石タンザナイトのように、私共の目には映ったのです。実をいうと、タンザナイトは私の誕生石で、「物事を好転させ、成功へと導く」という意味を持ちます。

そのとき、気づいたのです。この果実は、特別なワインをつくるために授かったものなのだと。そして私共は、67箇所もの区画から収穫し個性の異なる葡萄をそれぞれ個別に醸造、熟成させ、まずは21種のキュベをつくりました。そこからさらに吟味を重ね、良質なキュベだけを厳選してブレンドし、果実の持ち味をできるだけ素直に引き出すべく、旧樽だけで、通常より8か月ほど長く、26カ月もの間熟成させました。その結果、深みのある穏やかな味わいを持った、まったく新たなワインを生み出したのです。このワインがもたらすのは安らぎ。タンザナイトが意味する言葉の通り、この不穏な状況を好転させ、深く、穏やかな、心安らげる未来へと導いてくれることを願い、このワインを「深穏」と名付け、ワイナリー開業10周年を記念する1ヴィンテージ限りの特別なワインとして、リリース致しました。私共の特別な思いを宿したこの「深穏2017」を、皆様とともに分かち合えれば幸いです。


ケンゾー エステイト ワイナリー オーナー
辻本 憲三・夏子

テイスティングノート

深穏 shinon 2017
【色合い】鮮明なダークレッド
【香り】セイボリー、ブラックベリー、ヴァニラ、後にペッパー、シナモン、破砕した石灰岩などのニュアンスを感じる複層的な香り
【味わい】深みのある果実の凝縮感と、きめ細かいタンニンが成すヴェルヴェットのようなしなやかさを併せ持ち、緻密な樽の印象をも感じる
【セパージュ】カベルネ・ソーヴィニョン90%、メルロ3%、カベルネ・フラン7%
【アルコール度数】15.2%
【エイジング】旧樽フレンチオークで26カ月熟成

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