INTERVIEW CCO堀口由紀子がその味わいを解き明かす 紫鈴の変化と進化INTERVIEW CCO堀口由紀子がその味わいを解き明かす 紫鈴の変化と進化

ケンゾー エステイトのワインを知り尽くす、
スペシャリストによる
「紫鈴」テイスティングコメント

ケンゾー エステイトが誇るフラッグシップ「紫鈴 rindo」は、2008年のデビュー以来、多くの皆様にご愛顧いただき、2024年3月に通算売上100万本を達成しました。ファーストリリースから携わり、多くのレストランやホテル・旅館に、歴代の「紫鈴」の魅力をお伝えしてきたのが、堀口CCO(Chief Customer Officer)です。今回は、現行ヴィンテージ2020年について、時間の経過とともに変化する魅力や、おすすめのペアリングについて聞いてみました。

球体のようなバランス。ケンゾー エステイトのフラッグシップ「紫鈴」

まず、「紫鈴」とはどのようなワインなのか教えてください。

「紫鈴」は、ケンゾー エステイトのファーストリリースからラインナップされる、正真正銘のフラッグシップワインです。

この「紫鈴」という名前、由来はご存じですか。高貴な色である紫を葡萄に見立て、その紫が鈴なりになる畑そのものの風景をイメージして命名されました。釣鐘型の可憐な竜胆の花が、ワインの雫にも似ていることから、読みを「りんどう」としています。

香りや味わいには、どのような特徴がありますか?

どのヴィンテージにも共通するのは、なんと言っても、きめが細かく柔らかなタンニン、丸みを帯びた酸、他のカリフォルニアワインとは異なる、控えめで品のある果実味です。これら3つの要素が重なり合うことによって、香りにはボリュームがありながらも、味わうとスムースでエレガントに感じられます。

ケンゾー エステイトには他にも、「紫」「藍」「明日香」という赤ワインがあります。どのような違いがあるのでしょうか?

「藍 ai」はカベルネ・ソーヴィニヨン主体のボルドー左岸スタイル、「紫 murasaki」はメルロ主体のボルドー右岸スタイルです。どちらもトップキュベらしい風格、重心の低さ、密度感があります。「明日香 asuka」はカベルネ・フラン主体です。カリフォルニアワインらしい果実の凝縮感に優れていて、カベルネ・フランらしい素朴なニュアンスを持ち合わせています。

これらのワインに対して「紫鈴」は、どのようなシチュエーションにでも合う、球体のようなバランスが魅力の逸品と言えるでしょう。リリース時から酸、果実味、アルコール感のいずれかが突出することなく、すべての要素が良い方向へ向かい、バランスよく形成される点こそ、「紫鈴」の優れた部分だと感じます。

リリースから半年以上が経った今だからこそ愉しめる、「紫鈴 2020」の魅力

「紫鈴」の現行ヴィンテージは2020年ですが、初めてテイスティングした際の印象を教えてください。

「紫鈴 2020」を最初にテイスティングした際に感じたのは、非常に温かみのあるヴィンテージだということです。柔らかな果実味が支配的でしたが、過熟感がなく、品の良さは例年通り。リリースしたばかりとは思えないほど、タンニンは柔らかで、しなやかな味わいを作り出していました。

「紫鈴 2020」はリリースから半年以上が経ちます。香りや味わいに変化は見られますか?

「紫鈴 2020」は固めの黒果実というより、プルーンのコンポートやドライイチジクのような、甘く、凝縮感のあるフルーツの香りが漂います。

リリースから半年以上が経ちましたので、熟成の香りも少しずつ感じられ、併せて、シナモンなどのスパイス香も漂います。その複雑な香りは、ただ果実香だけを押し上げてくるようなワインと違い、過熟感がなく、しなやかな香りへと変化しながら、その程よい熟度に、落ち着いた安定感を覚えるのです。

味わいにも変化が生じており、酸、果実味、アルコール感とタンニンとのバランスが一段と向上しています。リリース当初から比べると、より大きなスケールを感じられるような状態になってきているのです。当然ながら、酸化熟成によるものと考えます。

一つひとつの要素を見てみましょう。 酸は、シャープな酸ではなく、より丸みを帯びてきているので、しなやかに口中へと広がっていきます。果実味は、前面に存在していた凝縮感が一歩引くことで、花やスパイス等の風味と融合し、より複層的に。アルコールはワインに溶け込み始め、フレッシュさや若々しさから受ける鋭角なアタックが、より滑らかに感じることができます。タンニンは、リリース当初に感じられた、若干舌に残る若々しさが、今や柔らかく厚みのあるベルベットのようなタンニンへと変化。飲み心地として好ましい状況と言えるでしょう。

「紫鈴」を知り尽くすスペシャリスト直伝、おすすめの愉しみ方

「紫鈴」をより愉しむためのアドバイスを教えてください。

ボトル1本を愉しむ中で、様々な顔をもつ「紫鈴」を、ぜひ体験していただきたいです。

まずは、よく言われるフルボディの赤ワインの設定温度(16~18度)より1~2度、低めからスタートしてみてください。クールな表情を見せる「紫鈴」に出会えることでしょう。その際に合わせるお料理も、冷製やお魚はいかがでしょうか。そして、徐々に室温に上げていきます。そこからは、香り、味わいの柔らかさが際立ってきますので、温かみのあるお料理へと移るのがおすすめです。

おすすめのペアリングは何ですか?

私がよく自宅で愉しんでいるのは、美味しいバゲットとともにパテやリエットと合わせています。先ほどご紹介したクールな「紫鈴」とは、モンドールやエポワスといったウオッシュタイプのチーズ、プロシュートなどがベストマッチです。

開いてきた「紫鈴」には、山椒をしっかりかけたうな重や、すき焼き、ビーフシチューなどいかがでしょうか。直営店ではよく、黒毛和牛テールスープや鶏手羽唐揚げ山椒かけ、時には温前菜の烏賊とラディッキオの甘酢炒めに合わせて、美味しくいただいています。

「紫鈴」の特徴を損なわずに愉しめるグラスや、保管方法はありますか?

グラスはやはり、卵型、縦長のボウル形状が特徴のボルドータイプがおすすめです。

直営店では、より縦長のタイプを使用しているケースが多く、紫鈴の香りがグラスの上部に立ち上りやすく、ずっと香りを愉しんでいたくなるほどです。

口径が広いのもボルドーグラスの特徴で、力強い香りの中で、タイトでドライな味わいを醸し出すのに、大いに貢献してくれます。

一部の直営店で使用しているザルトグラスは、その薄く繊細な口当たりで、よりいっそう、清らかで、エレガントな印象をもたらします。

保管については、ワインセラーをおすすめします。ゆっくりと熟成の過程を愉しまれたいなら、温度設定を少し低めにしても良いかもしれません。

最後に、「紫鈴」に対するご自身の想いを教えてください。

入社時から15年以上が経ち、「紫鈴」を日々味わい、「紫鈴」の変化を体感できることは、とても幸せであり、恵まれた環境にいることを実感しております。辻本 憲三・夏子オーナー夫妻が、日本人の繊細さ、美しさを表現した、他では類を見ないワインであると思っております。

「紫鈴」とは、どのような時でも笑みを絶やさない、それが私にとっての「紫鈴」です。常に裏切りのない香り、味わいを醸し出してくれることから連想し、思いを寄せることができます。これはとてもすごいことで、ワインとしてなかなか成しうることは難しく、「紫鈴」が揺ぎ無い力を持っているからだと思うのです。その力は私をいつも諭してくれます。人生において、生き方について考える時、そばにいてほしい、そんなワインなのです。

そして、個人的には、まわりのワイン仲間に自信を持って語ることができるワインであり、これからも、多くの方に知っていただきたいと思っております。

堀口 由紀子
(YUKIKO HORIGUCHI)

ケンゾー エステイト ワイナリー ジャパン 株式会社、CCO(Chief Customer Officer)。2008年に入社し、卸レストランや法人・個人への営業活動に従事。シニアワインエキスパート、チーズプロフェッショナル取得。豊富な経験と知識を有し、一流レストランやホテル・旅館からの信頼も厚い。プロ向けテイスティングセミナーも数多く開催。ケンゾー エステイトのワインの魅力を知り尽くすスペシャリスト。

各直営店にて
「紫鈴」テイスティングを行っております。

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商品ラインナップ

ファーストリリースから進化し続ける「紫鈴」。
最新が最上、「紫鈴 2020」をぜひご堪能ください。

紫鈴 rindo 2020 (750ml)
¥14,000 (¥15,400税込)

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紫鈴 rindo 2020 (375ml)
¥7,000 (¥7,700税込)

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紫鈴 rindo 2020 (750ml) [木箱入り]
¥15,000 (¥16,500税込)

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紫鈴 2020 ハーフボトル4本セット
¥28,600 (¥31,460税込)

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